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こちらは、主に素直でクールな女性の小説を置いております。おもいっきし過疎ってます
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少女

 一台のセダンが駐車場に到着した。ファミリーレストランの駐車場前でパーキングチケットを引き抜く、ゲートが開く。型落ちのセルシオ、フルスモーク、玩具のようなエアロ。薄暗い駐車場を、クリアーホワイトのヘッドライトが昼間のように明るく照らす。車を停め、ドアが一斉に開く。運転席助手席から男性が、後部座席からは少女が。四人グループが店の入り口に差し掛かる頃、タイマーによりエンジンが切れた。
 店内は賑わっている、忙しなく店員が走り回る。グループは案内を待たず、喫煙席に座った。
 スポーツ刈りで顎鬚を生やしたユウジはセブンスターを咥える、使い古したジッポーを手馴れた動作で火を点けた。色気が匂ってこないあどけなさが滲む咲《さき》、ユウジから店員を呼ぶように顎でしゃくられる。テーブルにあるブザーを押した。咲は肩から提げていたポーチからミッフィーの煙草ケースを取り出す、覚束ない手つきでマイメロディのライターに火を点け、バージニアスリムを咥えた。
「それ、順番、逆」
 咲が煙草を咥えた時、既に火が消えていた。吸い始めたばかりの咲は苦笑う。ジッポーに火を点けて手を伸ばし、ユウジは咲の咥えていた煙草に火を点けてやった。
「このあと、どうするのユウ君」「考えてない。お前、家になんていって来た?」「最近全然帰ってないから、なんにもいってないのね。お母さんには生きてるよってメールしといた」「ふーん」咲は煙草を灰皿に置いた、細い煙が燻ぶっていた。
「ウチにこいよ」「どうせエッチなことするんだよね」咲はにっこりと頬を和らげた。お前の歳でセックスを覚えると癖になる、とユウジにいわれたこと思い出す、咲は下を向いてこけた頬を赤らめた。恥かしくなってきた咲は、照れを隠すように水の入ったコップを探した。いらっしゃいませ、と遅れて水を運んできた店員のぼんから、水をひったくった。
 隣に座っていた咲の同級生がフリードリンクを注文する。ユウジの隣で携帯電話を弄くっている友人は、欠伸をしている。
 一時間ほど時間を潰した四人は、表に出て、車に乗り込んだ。咲の同級生を、また違う同級生の友人宅へ送る。ユウジの友人を家まで送り、その辺の公園に車を停めた。
 街灯が途切れ途切れに点いていた。暗闇の中、排気音がうねっている。車内のスピーカーから爆音が鳴っている。ユウジは眠たそうに呟いた。
「我慢できない、舐めて」
 咲はキョトンとした面持ちを浮かべてる。ユウジはおもむろにジーンズのボタンに手を掛け、豪快にボタンフライをあけた。
 咲は、このあと訪れるであろう一抹の不安に駆られながら、拗ねたような、半ば諦めを漂わせて、ジーパンごとトランクスをずり下ろした。半立ちのユウジのそれを握る。ユウジは咲の亜麻色の髪を掴み身体を倒させる、片方の手を伸ばし、スカートを手繰り寄せ、ショーツの中に掌を突っ込んだ。咲のこけた頬が更にへこむ、たっぷりと唾液を溜めた口内、ぷつぷつと弾ける音が爆音に掻き消された。ユウジは咲のティシャツを胸上まで捲くりあげブラに引っ掛ける。無理矢理ブラの中に掌を進入させ、硬さの残る乳房を弄った。
「うぅ」ユウジの腰があがり、咲の頭を押し付ける。射精。「ごっ」擬音に近い声を咲は発した。
「飲んで」そういって、ユウジはドアのポケットからセブンスターを取り出した。ましろの煙が立ちあがる。ごくりと喉を鳴らして飲み込んだ咲、咽び返っている。ユウジは胸ポケットにジッポーをなおすと、煙を吐き出しながら、咲に冷たい視線を送った。
「明日、仕事早いから、帰って寝るわ。また駅前でいい?」
 咲は笑顔のつもりだったが、薄ら笑みになって浮かべていた。乾いた仕草でティシャツをずり下げ、スカートをはたいた。ユウジはそれを一瞥し、煙草の火種を燃やす。
「朝、お前送る時間無いし、バタバタしてるから無理。ダルイだろ、色々と」
 やっぱりね、と咲は出そうになる溜め息を押し殺した。不安は的中し、仕方ないな、と窓の外を眺めた。車の速度があがる。咲は、流れる無数の光を追いながら、このあとファミレスにしようか漫画喫茶にしようかな、と時間潰しの方法を考えていた。
 深夜二時を回り、ネオンが煌々と点いている商店街を歩いていた。ポーチの中をまさぐり財布を取り出してみると、ろくに入っていない。咲は小銭を数えるでもなく、しぶしぶ諦めて駅の階段で座った。
 咲は階段の中段あたりに座る、下段のあたりに一見して二十代前半の女性が横になっていた。薄暗い中、咲は時間が過ぎるのを待っていた。その時、急激に吐き気が込み上げてきて、我慢できず吐き出した。嗚咽の声、排泄物が鏡面のタイルを叩きつける音が響く。
 下段に寝ていた女性はその場から声を張りあげた。「大丈夫?」と声を掛けられた咲は、無言で首を縦に振った。スーツ姿の女性は階段をのぼり、咲の隣に座り、背中をさする。
「中学生? だよね」
 首を横に振る、咲は縋るように小声で「小五」と呟いた。呆気に取られたスーツ姿の女性、志乃《しの》はさすっている手が止まった。
「親は? この時間に、こんな所に居て怒られない?」
「怒りますけど。だからといってとめないし、メールしとけばそんなにも怒んないし」
 志乃は眉を顰めた。何かを話そうとして躊躇した。志乃は関わると面倒なことになる、と躊躇したが、咲の屈託のない煤けた面持ちが目に入ると、とりあえず話しかけることにした。「あたしは志乃」「咲です」。
「あたしは高校の時、そんな感じだったのよね」と志乃は頷いた。そういって志乃は、ピンとくるものがあった。吐くというとこは本気で病気かつわりの症状だと、志乃は高校の頃を思い出した。
「咲ちゃん、その吐き気って風邪、病気? それともつわり?」
 咲は首を振るだけだった。
「ゴムしてる? デキるよ、普通に」
 志乃は背中をさすり始めた。
「してないです、志乃さん」
 軽く嗚咽して、咲はユウジとの付き合いを告げた。三ヶ月ほどの付き合いで、週五回は逢っている。毎回セックスをして毎回中に出すこと、ゴムを付けてというと、怒鳴られそうで振られそうで怖いこと。歳は多分二十七歳で、大人っぽくて格好いいこと。そのあとに、先ほどまで遊んでいた友達は、年上の女の子の家に上がり込んでいて家に帰ってないとこ。その友達の影響で、自分も家に帰らなくなったことを告げた。
 あの頃の繰り返しか、と志乃は頭を掻いた。志乃本人も友人たちも、高校当時、同じような境遇だった。流石に親には黙って家出状態だったけれど、この子みたいに半黙認状態ではなかったよな、とあきれた。
「うーん、先にいっとくけど、それ付き合ってないから。セフレかもしれないど、そいつ咲ちゃんのことセフレとも思ってないし、お金貰ってないんでしょ。なんともおもってないよ。どうせ電話掛かってきても無視したら、掛かってこなくなるだけだから」
「そうなのかな」
 咲は瞳を曇らせて、ぐったりと頭を垂れた。度々、車でのユウジの行動を強いられていた咲は、薄々気付いてはいた。咲の、ほっそりとした頬が小刻みに震える。
「そんなもんよ大人って。あたしも大人になったけど、あの頃はあんな大人になりたくなかったなー。でもね、大人になんないと、まともに相手にもされないのよ。とりあえず、咲ちゃん、あたしの家にきなよ」
「いいの? 志乃さん」
「子供がデキたか、デキてないのか、判らない状態で親には言いづらいでしょ。そのあたりのことわからないでもないし、高校の時そうだったから。でもね、その歳でデキちゃうと、犯罪なのよ。簡易の尿検査薬で調べてからでないと、ユウジ君には逃げられちゃうし、親の出方もあるから……」
 そう告げると、よくわかったようなわからないような表情で、咲は頷いた。
 二人は始発が出るまで階段に座り、志乃は一方的に話し掛けた。咲は「ユウジと別れたくないな」とポツリと呟く。それを聞いた志乃はやるせなさを覚え、深く溜め息を吐く。あたしが助ける番だな、と頭の痛いおもいがした。志乃は、矛盾を感じたことに痛いおもいが交錯した。デキていないことを切に願う。
  1. 2007/03/26(月) 03:56:17|
  2. 短編作品|
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