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こちらは、主に素直でクールな女性の小説を置いております。おもいっきし過疎ってます
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俺のあんパン

 この前、綺麗サッパリ、こっぴどく好きな女の子に振られた。付き合ってた訳じゃないけど。
 放課後その女の子を屋上に呼び出して、告白した。
 お前に好きなヤツが居るのは知ってる。けど、我慢できんかった。付き合ってくれないか? そう言ったらコレ。
「何だ。お前、分かっているんだろ。じゃあ諦めろ」
 こういうアッサリしたヤツとは思っていたが、告白してるんだから、もうちょっと気持ちを汲んでくれても良かったんじゃないかな? とは思うけど、振るにしても優しい言葉を掛けてくれる事もなく、予想通りバッサリ斬られる事になった。
 そして、今。
 友達の陽太――アイツが好きな相手。が、俺に向かって話しかけている。
「なあなあ、帰りにゲーセン行こうぜ、ゲーセン」
 別に行ってもいいけど、アイツが付いてくるから、オプションのように。あんまり行きたくないが、仲のいい友達だから、悩むよなあ。
 陽太は優しいヤツで結構何でも受け入れるタイプだ。
 陽太はアイツと付き合ってるつもりは無いみたいだけど。アイツはそのつもりで一緒に居る。そんな陽太の鈍感な所がタマに嫌に思うが、本人は至って自然体な所が歯痒い。俺の気持ちも考えろよ。とは思うが、鈍感な陽太にそんな事を思っても気付いて貰える事も無く、二人のラヴラヴっぷりを見せ付けられる。凄く理不尽だ。
 そうして凹み気味にしていると、アイツが颯爽と現れた。まあ、いつもの事だ。ゲーセンに行くと言い出すんだろう。
「ほう、ゲーセンねえ。陽太。私も行こうかな?」
「えーお前も来んの? 格ゲー強すぎんもん。勝てねーよ」
「心配するな、適当に負けてやるから」
「うっせー。ぜってー勝ってやるから、待っとけよ」
 俺の前で、分かりやすくイチャつくのは止めてくれよ。アイツの眼鏡の奥から光る眼は、もう陽太しか見てねーし。友達だから話す事もあるけど、ほぼスルーされるのは、かなり辛いものがある。
 あんパン思いっきり投げつけてやろうか? と思うが、これが陽太に投げようモノなら、アイツがあんパンを受け止めて、ノータイムで投げ返されるからな。投げづらいよ。
「なあ、空も来るけど、お前も行こうぜ」
「私は陽太が居ればそれでいいがな」
「ちょっ空。何いってんだよ」
 振られてそんなに立ってない友人の前で、そこまで言えるか? げに恐ろしい。分かっていたが、凄まじい。
 わーったよ。行きゃーいいんでしょうが、行けば。と、言えば。
「ふーん」
 の一言……半言でアイツの会話は終わった。はええ。アイツは興味ない人間に対すると、全く相手にしない。
 さらに。
「じゃあ、今から行こうぜ! 空鞄取って来いよ」
 陽太。お前友達だろう。もうちょっと考えろ! あんパンを握り締めた友人が、ココに居るだろうが。
 切ねえ。めちゃめちゃ切ねえ。この恋人未満二人組に、巨大あんパン投げつけてぇ。
「んじゃ、現地集合で。空! 行くぞ」
「ああ、今行く」
 そう言って、二人は教室を出ようとドアに向かう。
 こんちくしょう! アイツらラヴラヴじゃねーか。何で俺は現地集合で、空と二人でゲーセンに行くんだよ。空気読めてねー。アイツに関しては、空気を読もうともしてねー。
 俺は机の引き出しから、いつか投げてやろうと思っていたあんパン――岩のように固いあんパン。を取り出して、二人を凝視する。
 お前ら俺の気も知らない、付き合ってる訳じゃない。分からない振りしてガンガンいちゃつきやがって、無茶苦茶じゃねーかよ。俺のこの、憤りを感じろぉぉお。
 喰らえ俺のあんパン! とりゃ!
 俺は思いっきり足を振り上げて、振り子の投法を駆使し、力の限り。思うが侭汗が滲むあんパンを、ドアから出ようとする陽太に向かって、放り投げた。
 あんパンは重力を無視するかのように、少し上昇しながら一直線に陽太めがけて突進する。天井に差し掛かる辺りから回転軸が少し傾き、上昇したあんパンはスライスして、上空左斜めからに鋭角に下へ向かって陽太を襲う。
 が、しかし! 黒い物体が素早く陽太の前に滑り込み、斜めから鋭く切り込んだ俺のあんパンは、ソレの手の中に入っていた。
「ふっ、あんパンか。なかなか手応えは良かったぞ。今時ココまで想いを込めて、あんパンを投げるヤツが居るとはな」
 アイツの手の中で、いまだ回転し続けるあんパンは、摩擦の力で煙が立ち上がっている。
 か、勝てない。アイツの陽太に対する気持ちに、俺は負けたんだ。潔くアイツを諦めろ。言ったじゃないか……
 『何だ。お前、分かっているんだろ。じゃあ諦めろ』ってな。アイツの想いに勝てるヤツなんて、本当に居るんだろうか? 分からない。ただ言える事は、俺の想いが足りなかっただけ。アイツの想いに俺の想いが届かなかった。それだけの事だ。
「陽太、行くぞ。タマには勝たしてやるから、心配するな」
「お前には、実力で勝つ!それまでは手を抜くなよ」
「分かった。分かった。しょうがないヤツだなあ」
 くっ。
 そう言ったアイツの頬の綻び具合が眩しかった。二人は無意識に手を握り、教室を後にする。
 悔しいよなあ。俺は机にうつ伏せになって、少しだけ泣いた。俺一人強がっていた事に対して、情けなくなった。
 元々持っていたあんパンは、ぐじゃぐじゃに潰れていて、まるで俺のよう。そのあんパンを一つまみして、口に投げ込んだ。
「甘酸っぱい」
 俺はもう、あんパンを投げる事は無いだろう。俺自身があんパンのようで、そんな情けない事は金輪際したくなかった。
  1. 2006/09/03(日) 23:34:54|
  2. 短編作品|
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あんパンあんパン(餡パン)は、菓子パンの一種で、中に餡が入っていることを特徴とする。.wikilis{font-size:10px;color:#666666;}Quotation:Wikipedia- Article- History License:GFDL
  1. 2007/10/10(水) 17:22:07 |
  2. 素敵なパンを食べたいね
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