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瞳の温度

 初めて笑ったとベリーショートの髪をした彼女は無口な緑目の少女に向かっていった。
 緑目の少女は無感動に乾いた笑みを顔に張り付かせたままだ。これで笑ってるって言うんだ、と少女はベリーショートの彼女に返事した。
 そうだよ、ベリーショートの髪をした彼女――並川は答える。
 ふうん。緑目の少女ロメリアは関心をなくしたように言い、張り付いた笑みを顔から消した。
  ロメリアは馬鹿笑いする。日本でこんな人が多いんだね、私の国とは大違いだよ。
 駄目だよ、そんなことここで言っちゃ、並川は平然を崩さずに言う。
 でもさ、ここただの喫茶店じゃん。
 だから大きな声を出してはいけないの。並川は子どもに勉強をさせるときのような口調で言う。
 私の国はね――とロメリアは言おうとしたら、一人の男性に目を奪われた。その男は茶色く光沢のある椅子に腰掛けており自嘲気味な笑みを顔に張り付かせている。
 あの男の人、私の笑い方と似てる――ロメリアは吸い寄せられるように男に近寄った。
 男は黒い服を身にまとっている。髪は当然のように黒く上着もコートもズボン靴も全て。瞳は自己主張を全くしていないそれを装っているように見えるけど、赤い目は黒ずくめの中でどうしようもなく目立ってしまっている。
 ロメリアはその赤い目に吸い寄せられる。
 綺麗……。まるでガラス玉が埋め込まれたみたいにその目がロメリアを射抜く。
 何か用でも? まだ二十代であろう黒ずくめ赤目の男が口を開く。 その光景をロメリアの保護者になっていしまっている並川は恐る恐る見守る。それも嫌悪の目を丸出しにして。ロメリアはそれを無視して男性を見続ける。
 ああ。ロメリアは嘆くように言う。あなたの目がほしいわ。
 俺の目かい? と男は聞き返す。
 それ以外何があるのよ、
 当然のようにロメリアは言う。それで――――いいのかしら、その目をもらって。
 こんな目を持ったって何の意味を持たないよ、ただ寂しいだけだ。
 私はとうに寂しいのなんて克服しているから平気よ。自慢げに言う。そう……男は無表情な顔になる。全く、寂しさを克服するなんて馬鹿なことをしたよ。
 話を変えないで、とロメリアは男を見据える。それで、目はくれるの?
 こんなモノで良ければ、………………………………。

  ロメリアは早速男の目を抉ろうとする。
「待って!」ロメリアの後方から並川の叫びが聞こえた。何よとロメリアは振り返り並川を鋭く目で捕らえる。並川は一瞬躊躇したが、椅子から立ち上がりハイヒールの踵と床を鳴らしロメリアの元へ行った。そしてロメリアの手を強引に引っ張る。あなたは何馬鹿げたことをしているの! と怒りをあらわにしてロメリアの意思を無視し帰ろうとする。
 ちょっと離してよ! 目をまだもらってないの。
 あなたはそういうところを直したほうが良いよ、並川は先ほど感情的になってしまった自分を恥じ冷静な口調にもどす。だからあなたは変人扱いされた挙句日本に放り出されてしまったのよ。
 ロメリアは並川の腕を噛む。私は放り出されたんじゃないわ、自分の意思で日本に来たのよ、勘違いされちゃ困るわ。
 並川は「痛っ」と小さく叫んだ。並川は続ける。……呆れた、まるでやることが餓鬼じゃない。
 そう、それは良かった、
 ――もうあなたのことは一切面倒見ないからね。
 ロメリアは鼻を鳴らす。こちらこそ建設的な運動をしようとうわべだけ見せてる偽善者に面倒見られたくないわ。
 馬鹿ね、と並川は言って喫茶店を出て行った。


 さあ抉りましょう。
 あなたの瞳を抉りましょう。
 そこには耽美的なものしか存在しない。汚辱は決して許されない。潔いまでに自己陶酔し、彼女は瞳を抉ろうとする。
「右目を取って、そして左目で泣きましょう」
 彼女は男に言った。男は微笑にも似つかない不敵な笑みをうっすらと浮かべる。そしてああそうだねと答える。
 しかしそこには絶望しか待っていなくてどうしようもなくなった男は哀れなまでに彼女に視線を送り心の中ではやめてくれと叫んでいるでも彼女は一切そういった抽象概念を振り払って全てを手にこめて右目を――――――

 男の右目のあった部分からは血が噴出し、笑い声は闊達なまでに少女の口から溢れ出す。男の赤い目の温度を右手に感じながら、少女は狂ったまでに喜び、舞う。

  1. 2007/11/14(水) 23:45:54|
  2. 短編作品|
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